201918日(火)
国立能楽堂
15:00開演  14:30開場

能楽 金春流

能楽とは

室町時代に大成された能楽は、その後650年もの間、途絶えることなく上演され続けてきた世界にも類を見ない伝統芸能です。日本が世界に誇る傑作芸能として、1957年には国内で重要無形文化財に指定され、2001年にはユネスコの無形文化遺産・第1号に選定されています。

金春流とは

世阿弥の「風姿花伝」に“申楽(さるがく)と呼ばれる芸能(今の能楽)は聖徳太子が秦河勝(はだのこうかつ)に命じて創作させた”とあります。その秦河勝に始まる正統を脈々と受け継ぐ金春流は、現宗家 金春憲和(のりかず)で81世を数える能楽最古の歴史を有する流儀です。金春流の芸風は、謡も型も古い様式を随所に残す、最も古格を重んじた、幽玄かつ雄渾なもので、多くの方々に深く愛されて参りました。

演目

出番表

出演

シテ方

ワキ方

狂言方

囃子方

料金

一席10.000円
能楽堂 観覧ツアー/観劇PASS(昼食付き)料金:30,000円
2018年12月1日(土)発売
チケットの販売は終了しました。

企画構成

大倉正之助

ご案内人

スティーヴン・鷲峰・コーミー

プロデューサー

門田頼枚

主催

天地人実行委員会

© 天地人実行委員会

日本文化 伝承「志」を未来へ
曲目解説

十二月往来 父尉 延命冠者

翁  十二月往来 父尉 延命冠者

 この曲を毎年定期的に見る事が出来るのは、五月に開催される奈良の興福寺薪御能の朝、春日大社社殿前における「咒師走り(ししはしり)の儀」だけです。近年は現宗家・金春憲和他三人が翁役を勤めております。

 明治以前、春日大社と興福寺は同じ団体であったと言っても過言では無い、密接な関係にあったので、興福寺の主催でも春日大社で神事が行われ、廃仏毀釈で別離した後でも引き続き我々は両社寺に奉能しています。

 十二月往来は、翁が三人出ます。途中までは通常の翁と同じ謡で、翁渡り、狂言方による千歳舞も通常ですが、千歳舞の途中で三人の翁が白式尉の面を付け、「参ろうれんげじや、とんどや」の後に謡が常とは替わり、一年間の目出度い事柄を一月から十二月までシテとツレ二人で謡い合います。途中から再び通常の翁式と同じく、一人の翁が翁舞を舞い、最後は三人揃って立拝をして納めます。続いてシテ翁は翁面を父の尉に付け替え、千歳は延命冠者の面を付け、それぞれこの世を寿ぐ謡を謡います。

  この「十二月往来」と「父尉・延命冠者」をまとめて奈良では「呪師走りの儀」と称します。 父の尉が面を外すと、シテとツレ三人は退場し、通常の翁どおり、三番叟による籾の段、鈴の段があり、終演となります。

 奉納性の高い演目ですが、シテ「八月の雁」ツレ「放生会に詣ろう」等、神仏習合の色合いが謡の中にも色濃く残っている所もお楽しみ下さい。

金春流 金春安明

NOHOkina

 Okina is more of a special ritual than a play. In it, the actors take the parts of divine figures who sing auspicious prayers and perform special dances for peace, prosperity, and harmony throughout the land.
 The play begins before the actors appear on the stage, as they must prepare their bodies and minds for the ritual performance.
 At the beginning, Okina, Senzai, and Sanba-so enter the stage with the musicians. In the Komparu school, Senzai also serves as the mask-box bearer. Once everyone is on stage, Okina bows and then sits. Three shoulder drums and the flute perform as Okina sings, alternating with the Chorus. Then Senzai performs a dance, during which Okina dons his mask, which transforms him into a divine being.
 Next, Okina stands and dances. This is the highllight of the play—the descent of the god to bless the people and the land. After his dance, he takes off his mask, bows, and leaves the stage.
 Sanba-so then dances, first without a mask, and later with a mask and some tree-bells.
 The end of his dance signals the end of the ritual, and all the performers then leave the stage.

曲目解説

狂言末広かり

 ある果報者[金持ち]が、目上の人に「末広がり」というものを贈るため、家来の太郎冠者を呼びつけ都へ買いに行くよう命じます。都に着いた冠者は、末広がりとは何か、どこにあるのかを聞かなかったことに気づいて困った挙げ句、物売りを真似て「末広がりを買おう」と呼び歩きます。そこにすっぱ[詐欺師]が現れ、言葉巧みに古傘を売りつけます。主人の注文どおりの品が手に入ったと思い込み喜ぶ冠者に、すっぱは、主人の機嫌を直す囃し物を教えます。帰宅した冠者が得意げに報告すると、あきれた主人は冠者を追い出します。思案した冠者は、すっぱに教わった囃し物をうたい足で拍子をとると、主人もつりこまれて機嫌を直します。

 この曲は、「末広がり[先にゆくほど運が開ける様子]でめでたい」とされる扇をめぐる、祝言性の高い作品です。太郎冠者の取り違えによる失敗談を描いた狂言は数多くありますが、ここでは主人の「地紙よく、骨がみがかれ、要(かなめ)がしっかりして、ざれ絵が書かれたもの」という扇への注文を、すっぱが巧みに傘の話にすり替えるおかしさがポイントです。間違いをおかしても最後はめでたく舞い納め、傘をかざした冠者と主人がリズムに合わせて囃す姿は、晴れやかでいかにもめでたい気分にあふれています。舞台をひとめぐりするだけで、都に着いたり家に帰ったりと、どんな遠くへもたどり着けるという狂言の約束ごとを見ることができます。

文化デジタルライブラリーより

KYŌGENSuehirogari(The Fan)

 The Master sends his servant, Tarō Kaja, to Kyoto to buy a suehirogari, which means a fan, but Tarō does not know what the word means. He arrives in Koto and realizes that he doesn’t even know what he is supposed to be buying, so he shouts out that he wants to buy a suehirogari.
 A dishonet umbreller seller hears him and realizes he can make a quick profit. The Master had told Tarō that he wanted a suehirogari with thik paper, polished bones, and pictures painted on it. The seller takes out an old umbrella, explaining that it has all these things and asks for a very high price. To make Tarō think he got a bargain, he even teaches him a song and dance to make his Master happy when he is not happy.
 Tarō goes home and the Master is so angry he chases him out of the house, so Tarō begins singing and dancing as taught. The master hears him and comes out to see what is going on, and winds up dancing together with Tarō. After they are finished, he praises Tarō for his cleverness.

曲目解説

半能石橋群勢

半能  石橋  群勢

 かつて大江定基(おおえのさだもと)といった寂昭法師が、唐の国・清涼山の石橋のそばで1人の木こり[童子または老人]と出会います。木こりは、石橋を渡った向こうは文殊菩薩(もんじゅぼさつ)の浄土だが、この橋は幅が狭い上に苔ですべりやすく、深い谷川に架かっているため、人間が簡単に渡ることのできない橋であると教えました。さらに橋のありがたさと、そのいわれや荘厳な様子を語ると、あらたかな奇跡を見せようと言って、消え失せました。やがて法師の前に仙人が現れ、文殊菩薩の使いである霊獣の獅子の出現を告げると、姿を現した獅子は、石橋の傍らに美しく咲く牡丹に戯れ、豪快に舞を舞い、世を祝福しました。獅子が出現して舞を見せる後半のみ演じられることもある祝言の曲です。

半能(はんのう)とは、能楽において付祝言などのために、一曲の能を後場に焦点をあて、前場を大幅に略して演じる形態。

文化デジタルライブラリーより

NOHShakkyō(Stone Bridge)Act 2 alone is performed as a half-Noh.

 In Act 1, a priest traveled to China to visit famous Buddhist sites. One day he comes to a stone bridge that traverses a deep ravine, and as he goes to cross it a child appears, saying the the bridge actually leads to Mt. Qingliang, home of the Buddhist Paradise of the Bodhisattva Monju (Skt. Mañjuśrī). He adds that in ancient times, even holy priests could only cross after long and arduous austerities. But he says that if the priest waits, something wonderful will occur. Then the child disappears.
 In Act 2 (which comprises this performance), usually a lion, the symbol of Monju, appears and gambols and dances among the peonies: the king of beasts among the king of flowers. In today’s performance, a special variation is being given in which several lions appear, creating a very festive atmosphere and making it an appropriate way to end this day of sacred ritual.

大倉正之助

大倉正之助Shonosuke Okura

能楽囃子大倉流大鼓
重要無形文化財総合認定保持者

室町時代より代々続く能楽囃子大倉流大鼓、小鼓の宗家に生まれ、父・大倉長十郎、祖父・大倉長右衛門より稽古を受け、9才で小鼓初舞台。その後16才大鼓に転向し、能楽の公演他、世界各国の首脳・VIP来日時等、首相官邸晩餐会での演奏や、政府主催の音楽祭に参加、ローマ法王より招聘されバチカン宮殿内においても日本代表として演奏する。東京ドームで行われたMLB開幕戦オープニング式典に出演。国内外のアーティストとの共演等、国際文化交流の場で活躍。CM、ドキュメンタリー番組などメディアにも多数出演し、日本の素晴らしい文化を世界に向け、発信し続けている。

金春憲和

金春憲和Norikazu Konparu

金春流81世宗家

80世金春安明 長男。父・金春安明に師事。6歳『邯鄲』初舞台。
2017年4月、金春流81世宗家継承。

金春憲和

金春安明Yasuaki Konparu

金春流80世宗家

重要無形文化財総合認定保持者

79世金春信高 長男。父・金春信高に師事。7歳「海人」初舞台。
著作「金春の能〈上〉中世を汲む」

森常好

森常好Tuneyoshi Mori

宝生流 ワキ方

重要無形文化財総合認定保持者

故 森茂好 長男。
1998年芸術選奨文部大臣新人賞

野村萬斎

野村萬斎Mansai Nomura

重要無形文化財総合認定保持者

祖父・故六世野村万蔵及び父・野村万作に師事。東京2020オリンピック・パラリンピック開会式・閉会式のディレクターに就任。

野村太一郎

野村太一郎Taichirou Nomura

故五世野村万之丞の長男。野村萬斎に師事。3歳『靭猿』初舞台。
「MUGEN能」同人。

松田弘之

松田弘之Hiroyuki Matsuda

森田流 笛方

重要無形文化財総合認定保持者

田中一次、森田光春に師事。観世寿夫記念賞

幸正昭

幸正昭Masaaki Kou

幸清流 小鼓方

重要無形文化財総合認定保持者

十五世宗家 幸清次郎 長男。

金春國直

金春國直Kuninao Konparu

金春流 太鼓方

能楽協会会員

故 二十三世宗家 金春國和 長男。
二十四世宗家

スティーヴン・鷲峰・コーミー

スティーヴン・鷲峰・コーミーStephen Juhō Comee

Born in 1950 in the US. Educated at Bates College (US) and the University of Oxford (UK). Came to Japan in 1974 to study Noh, Buddhism, and martial arts. Now a semi-professional Noh actor of the Kanze school; a fully ordained ajari (Skt. ācārya) in the Shingon tradition of esoteric Buddhism; an instructor of Qigong, Taiji, and Xingyi and practitioner of advanced Bagua. Works as a Special Consultant for the Japan Foundation (a special legal entity operated under the purview of the Ministry of Foreign Affairs).

昭和25年米国生れ。ベイツ大学(米)、オックスフォード大学(英)で古典学・英文学を学ぶ。武術、仏教、能樂を学ぶ為に、昭和49年来日。現在、気功、太極拳、形意拳を教え、上級八卦掌を精通、高野山の阿闍梨になり、観世流の準能樂師にもなる。日本の独立行政法人である国際交流基金に勤める。

門田頼枚

門田頼枚Yorihira Monden

20代後半で、岡山瀬戸大橋博覧会の催事総合プロデューサーに抜擢され、多数のメディアの知られるところとなる。
京セラドームや国際会議場のオープニング式典を演出する傍ら、日本で開催されたAPEC世界会議のディレクションや日経新聞主催の「日経ソーシャルイニシアチブ大賞」のプロデュースも手がける。日本の伝統文化を世界に届けることを常に創作の演出テーマとしている。最近では、ノーマライゼーションやパラリンピアン達をもっと世の中に伝える広報イベント「スポーツオブハート」の総合演出や、アフリカ全土を支援する社会貢献の団体「Africa4.0foundation」の代表としても活躍している。

お詫びとご連絡

このたびは年始のお忙しい中、TENNCHIJIN―三日月公演―に多数ご来場賜り誠にありがとうございました。お陰様で盛会のまま無事終えることが出来、皆様には大変感謝申し上げます次第です。

何分、本年度より新しい試みとして企画致しました公演でしたので、不行き届きの点が多々ございましたことは、何卒ご容赦頂けましたら幸甚です。今後とも皆様のご指導、ご鞭撻を頂戴致しまして、世界に向けて日本の伝統芸能の心を未来に継いで参ります所存でございます。

何卒ご支援の程、宜しくお願い申し上げます。

尚、当日のプログラムがご来場の皆様のお手元に届かない不手際がございましたことは、心よりお詫び申し上げます。
只今、急ぎ増刷の手配をしておりますので、事務局までお電話もしくはメール、ファックスにて、その旨ご連絡を頂戴出来ましたら、ご指示のとおり、お送り申し上げますので、大変お手数ではございますが、ご連絡をお待ちしております。

天地人事務局